「私は、名義だった」
信じた相手に、人生ごと利用された。
サブタイトル
恋愛、事業、裁判――
8年後にすべてが崩れて見えた真実

プロローグ
人は、だれかに騙されるとき、
「騙されている」と気づきながら進むわけではない。
後から振り返ったとき、
「あの時だったのかもしれない」
と思う瞬間が、いくつも見つかるだけだ。
最初は、小さな違和感だった。
説明できないほどの、ほんの小さなもの。
それを気にしないまま、
時間だけが進んでいく。
そして、ある日、
出来事は一つの形になって目の前に現れる。
通帳の数字、
契約書の名前、
裁判所から届く封筒。
そのとき初めて、
自分がどこに立っていたのかを知る。
これは、
特別な人の話ではない。
特別な環境の話でもない。
どこにでもある日常の中で、
静かに始まり、
長い時間をかけて形になった、
一人の女性の記録である。